NPO法人 Harmony様「カーサ・ソレアード」

外観全景(隣接するハーモニーファミリークリニックとあるぷす薬局高畑店)
敷地内の三つの建物は、それぞれ別のオーナーさんが建て主です。
福祉・医療・薬局事業の垣根を越えた連携体制を強化すべく、同じプロジェクトとしてお手伝いをさせていただきました。
外観は三棟の個性を活かしながらも三角屋根という共通項を持つことで、一体感のある街並みを表現しています。

西側外観
車椅子用駐車場は利用者さんの送迎用として8台分を用意しています。
全ての駐車場で、車の横からでも背面からでも車いすの乗降ができるよう設計しました。
周辺環境に優しく馴染む三角屋根は、隣接建物への圧迫感を軽減する勾配でデザイン。

外観(右は隣接するハーモニーファミリークリニック)
隣接のクリニックとは用途も空間の使い方も異なりますが、
お互いの名の通り、「調和(ハーモニー)」をテーマに設計。
外壁のベースカラーには同じ仕上の色違いをそれぞれ選択、建物の高さもお互いに揃えて一体感を創出しています。

車寄せ
大きな屋根は、雨の日の送迎でも利用者さんが濡れずに建物内へ移動できるように寸法を検討。
雨の日も寒い日も温もりを感じてもらえるよう、天井も木目で仕上げています。

玄関ホールの案内表示
右:「それあ~ど」 活動室…生活介護や放課後等デイサービスの部屋。いつも利用者さんたちの笑顔で溢れています。
左:「ソレアード・ホール」 相談室…講演やカウンセリングなど、イベントにも使われることが多い空間です。
  建具を開放すれば廊下とつながり、一体的な大空間としての利用が可能。

生活介護・放課後等デイサービス「それあ~ど」の活動室
普段は建具で仕切って3室として利用していますが、イベント時は建具を開放して大空間として使用します。
大屋根の小屋裏を活用した三角の天井は、開放感を得る目的の他、利用者さんの目に優しい間接照明を仕込んでいます。

建具で仕切った「それあ~ど」の活動室
床座で活動するスタイルが基本であるため、その際の視線の高さ(=腰)から下は隠し、腰から上はガラス張りに。
隣のクラスのカリキュラムが見えて利用者さんの気が散らないように配慮しつつ、
上部を透明にすることで職員同士の様子が分かるようにしています。

活動室に隣接する機械浴室
やさしく暖かみのある入浴空間となるよう、床の色は愛情や慈しみの象徴とされるピンク色を採用。
暖房には、穏やかに浴室全体を暖めるパネルヒーターを設置しています。

「ソレアード・ホール」前の廊下
屋外に面していない中廊下は一般的には暗くなりがちであるため、吹き抜け上部に高窓を設けて採光する計画としました。
「ライト・チムニー(光の煙突)」と呼ぶこの高窓は、ガラス張りの煙突が屋根から飛び出るような形をしています。
朝昼夕の時間ごとに様々な表情の光が廊下に降り注ぎ、ときに幻想的な雰囲気に包まれます。

「ライト・チムニー」を下から望む
空間のアクセントとなる「ぼんぼり」照明は「ライト・チムニー」からの光やクロスした部材と融合し、
おだやかで丸みのある光で廊下を照らします。
「ぼんぼり」下部の三角形は、ガラス窓。窓を介して廊下と「ソレアード・ホール」がゆるやかに繋がっています。

ソレアード・ホール
普段は食堂やミーティングスペースとして使う多目的ホール。
大人数の収容が可能で、理事長の講演や各種交流事業もこの空間で行います。
左側天井、三角形のガラス窓の奥には、「ライト・チムニー」が顔を覗かせます。

ソレアード・ホール(建具を開放し廊下と一体化)
木造では希少な、柱の無い大空間です。これは大屋根を支える構造部材「かぼちゃ束」の成せる技と言えます。
「かぼちゃ束」とは、天井の中央頂部で十字の登り梁を束ねる、かぼちゃのヘタのような短い柱状の部材。
柱が視界を遮ることもなく、大人数の講演会でも、会場をしっかりと見渡すことができます。

ソレアード・ホール(建て方最中の登り梁と「かぼちゃ束」)
工事中に「かぼちゃ束」を真下から撮影。屋根を掛ける前の一瞬のタイミングを狙って撮っています。
背景の青空とのコントラストが美しい、お気に入りの一枚です。

「ライト・チムニー」夜景
「ライト・チムニー」内、中廊下の「ぼんぼり」照明は、屋外ではライトアップ効果を持たせています。
夜は屋根から出た「煙突」が、優しい光を放ちます。

NPO法人Harmony様の新しい活動拠点となる「カーサ・ソレアード」です。
事務室、活動室、多目的室からなる障がい者福祉施設で、オープンの講座やワークショップ会場としても活躍しています。
木造平屋建てならではの大きな屋根と天井の高い内部空間が、「ソレアード」のシンボルです。